インフルエンザでなきゃ恋

片側にはにくしみ、もう片側には愛がつまってるの

何処までも自由だ(舞台ヒミズ)

2021年9/18(土) Mixalive TOKYO  Theater Mixa
劇団時間制作プロデュース公演 第二弾 舞台『ヒミズ』を観てきました。
 

 
 
 
 

 
 

諸々

 

 
「あなたの心の血の色は、本当に赤ですか……? 
現実という化け物が暴れ出す。これより不道徳の時間を始めます」
 

 
年始にお世話になる予定だった時間制作さま。ワッショイ大乱闘再編。
原作が稲中古谷実先生なのにサスペンスとは。と更新されないプロファイルを持ったまま原作序盤だけ斜め読みして行きました。
 
公演自体も26まで、23日(木祝)*1で配信が決まったそうなのでお気にかかる方はぜひ。
www.confetti-web.com
昼夜有るそうでごわす。なるほどチケ発の時の収録の意味これか。というやつでした。いやDVD・ブルレイも出るとの事ですが。
 
 
 

全般

 
青くただ青くそして沼底はとても浅く。
青春狂走曲を聞いている気持ちでした序盤。このTHE厨二を二時間半見るのか……?と困っていたらしっかり重たくドロついて行ったので割と大人も心安らかに世界に没入できました。若い子に見て欲しい作品だなと思う。こう言ってはなんだけど、当時のメインターゲットだった年齢の人たちが見たら若いな~ってなっちゃうのであくまでも二十代前半くらいに見て欲しいものと位置付けたくなる青さ。若さ、苦さ。大人組でキッと締まってるけど学生組のあれやらそれやらはたいへん微笑ましく苦々しく、葛藤は青く透明でした。
 
自分は何者になるのか(なれるのか)×不遇の生まれ(社会の壁)×自分の中の正しいと歪み
 
若さやな。となる。
大人は立ち止まることも出来ないから、子供の特権でも有る葛藤は羨ましくもあり失くした何かに思えた。
 
殺したいほど人を、家族を憎んだことも無くて感情移入は出来ないのだけれど、絶望して、苦しくなって、全て無くして自分も死のうと思う思考には興味がある。包丁一つ手に持って紙袋に入れて彷徨って、区別が着きにくくなった幻想を抱えて呼吸をして、憐れまれて、差し出された手も取れないで。どんどんどんどん孤独へと降りていく様はあまりにも非現実で、本当に言う慣れば可哀想だったなと思う。自分には噛み砕けないだけの感情が襲ってくる、それこそ分からない程の孤独を湛えて。
 
登場人物が全般的に闇を抱え過ぎてて心配になる。陰鬱の集まりなのか?だけれど似たようなものが合わさって邪念は大きくなるのだろうなとも思う。世界が重苦しい。ある意味きいちくんが普通にあの輪の中に居られたの凄いなと思ってました。君光り輝き過ぎだろ。
 
キービジュで入水してたのでなんぞやと思っていたが後半、ほぼ水の中という音が鳴っていた。ぽこぽこ、ゴボゴボ。原作を読んだり噛んだりしないと読み解け無いけれど心理状態を表しているのであればとっくの昔に底には辿り着いていたんだろうなと思う。浮かび上がるのは地面を蹴るだけ、その一歩があの拳銃で、金子さんはそれはそれでいい仕事をしたのだと思う。
 
一桁番だった時に吹き消された蝋燭の焦げ付いた匂いがして、「ああ、住田くんも茶沢さんも生きてる」と不思議と思った。パパが煙草を燻らせる時も思ったけど、世界というか「生活」がそこにある気がした。
大人も子供もこれは一緒だけど、自分の中の何かと対話して何かに打ち勝つというのは労力のいること、動き出すのも余計。
だからこそ彼の中のソレは強く邪悪で陰険で、いつも薄気味悪く笑うのだろうそして貶すのだろう。最後のシーンに寄せられた罵倒が、抗い打ち勝つ若さ故の勝どきで、この先の闇も祓って行けるのかもなと思う。
 
何処までも自由で、何処へも行けない日不見の様に。
青少年の葛藤と日本のスラムのあり方の様なものを垣間見る。なるほどヒミズモグラとの違いも未だ分からぬ焦点の充て方よ。
 
そしてカテコ無しというまあまあ惨忍な終わり方でビックリしました。サイドから谷さんが出て来て挨拶して終了、新し過ぎた。ただ贈る場所を失くした出演者への拍手は何処へ向かえば良いのだろうと思うので拍手ポイントが復活してればいいなと思う。
あと私事ですが大きな音が苦手故、発砲音で跳ねてしまい近隣の方にもしかしたらご迷惑をお掛けしたかもしれない。暗がりでまだ良かった。
そういえば換気休憩中、セットチェンジも兼ねて赤田夜野が黙々電飾を付け替えてるんですが客普通に休憩しててすげえと思いました。ちょっとキョドりながら見続けてしまった。
断捨離で見損ねた谷さんの作品をようやく見ることが叶った訳ですがあのほの暗さの中の優しさ、甘さが見え隠れしていて時間制作さんの本来の作品も観てみたいなと思うこと山の如し。帰り際もロビーにいらっしゃったので舞台のこと大好きなんだなあと眺めながら帰路に着く。
 
人とは、正しさとは、なんだろうと考えるのは人間なら絶対なのかもしれないなと思いつつ。
終わらない世界の疑問を抱いて孤独と思う若さを羨ましいとだけ思う作品だったなあ。
 
 
 

各キャスト

 

住田くん(西山潤さん)

透度たっけーーーーーー血があけええええええ。
論破の圧でウッとしたけどそれも序盤だけだったなあ。必死さをやり込めるための雄弁さだったんだなと思う。
あと滅茶苦茶生活破綻してそうだけどケータイ持たせてくれてるの良い親だなと思った。
傷つけられて傷ついて苦しんで汚されていく論破系厨二病の方。麻痺していく世界の中でソレと共に生きてる。縋る相手が居なかったから生まれた感も否めないソレを殺した先に何が有るんだろうなと思う。精神を乗っ取られるほどの大きな影ではないので共存しても良いんじゃないかなくらいの感じだけど、今後彼の写し鏡は茶沢さんが担ってくれるというのであればそれはそれで幸せなのかもしれない。皮一枚内側は内蔵、なんだか不思議なものに思えてくる。
合間に挟まれる帰ってくれが刹那的で流石厨房と感動しましたね、何度も何度も。
 
茶沢さんの「あたりって言って」に対して「正解だよ」って言うところに私は愛の無さを感じてしまうのねどうしても。同じ言葉を使うことも愛情表現だと私は思うのでそこは引っかかったかな。まあ男女差なのかもしれないが。
 

茶沢さん(松田るかさん)

ド声の可愛い美少女ストーカー。
マスクしてても美少女だな……という事だけ分かる。綺麗な女の子だなあって思ってたらほっそいし足長いし美少女極まってて困りました。パワフルな女の子茶沢氏、ストーカーから嫁にまで昇格するようなので気持ち悪いはスパイスというのは本当なのかもしれない。
度が行き過ぎた愛を育める素晴らしい感覚ではありますが、ストーカーも犯罪です。
 

ソレ(三津谷亮さん)

死体としてのクオリティが高すぎた。
三津谷くん初めて見るっけ……???と思ったんだけど俺地図で見たんだな(遠い記憶だなあ)綺麗な男の子が居た。年上に見えんぞ。
ソレとしての死、瞬き一切して無くて感動してしまった、三津谷くんのプロ根性is何……凄まじかった……。こぷっ……ツゥ…………って血が溢れるの上手すぎて
 
俳優、血の使い方さえ差が出るのか。
 
と感動した次第です。三津谷くんis凄い。
 

赤田くん(久獅さん)

中盤サーモグラフィーTシャツ着ててちゃちゃまるを思ってしまった。
ずっとムードメーカーがなり続ける赤田くんは素直で平和で狭い世界を泳いでた。苦しいかな、悲しいかな、彼が一番普通だったなと思った。
 

夜野くん(田名瀬偉年さん)

夜野イイィ……。
夜野くんの中での普通は住田くんだった。世界線を違えばそれは愛とも呼べる関わり合いで、友情よりもずっと奥底に存在する絆なのだと思う。住田くんは同情や何かを感じて切り捨てたけれど。私は親に勝る愛をくれる親友がいることは素晴らしいなと思います。本当に住田くんは周りに恵まれていたな。
 

小野田くん(佐々木道成さん)

きいちくんお顔が良くてビックリしちゃう。澄ましてるけどママがプリン出してくれるしダッフルコート着てる、良い家の子だ!!!!!!!!!!!母ちゃん百万でうんこ食うけど!!!
 

さくら他(前田悠雅さん)

実は本作で一番不憫だったのでは……感すらある路上シンガー。ハイトーンが上手すぎてビビっちゃったなあ!!!!!!
愛人お姉さんがえっちで可愛かったし常に彼女ピッピも可愛くてこまっちまわぁ。女の子は可愛いに限る。美少女バンザイ。
金子さんに「姉ちゃん続けて」って包丁突きつけられて歌い直すところあまりにも不憫だった。途中で不憫なことに襲われ続けてため息を吐き出す様が本当……一番被害者よ感。
 

ママ他(柴田時江さん)

子供を愛さないってどんな気持ちなのだろうなと思う。分からんが。
でも最近思う、大人だって大人にならんのだと。この年になっても立派なオトナになんかなれなくて、どうしようもない思考のまま生きてる自分を思う。世界が年齢を大人にするだけで、感覚はずっと均一なのだと思うからこの人もただただ女性だっただけなのだろうと思う。ただ、責任はもちろんあるのでクズに違いはない。
 

パパ他(モロ師岡さん)

絶妙に死んで欲しいから凄い、とても凄い。社長のパンツがハート。血が苦手なのでパパの顔中の痣を見てうぐうを堪えるの必死でした。
 
 
 

木ノ本嶺浩拾変化

 
出てきた順に?抜け有るかも覚えてるのだけ。

ベージュカーデくん(冒頭で赤田を虐める高校生)

ド初っ端怒号の後登場したベージュカーデで脳が終了した。
素で、いい人生だったなと思いました。拙者ベージュカーデ大好き侍、あまりの可愛さにのたうち回りたい衝動を抑えながら目が離せない。原稿用紙をぶち撒け笑う悪ニキなのに稀代の美少年そこにおるがな。
来世はベージュカーデになりたいです。
この世にベージュカーデ高校生の写真が残らない社会なんて間違ってるよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 

カレピ(ボート乗るカップルのハンチングにき)

柄悪ハンチングにき、おかわゆいでござるな。
 

おにに(茶沢にき)

よたよた歩く茶沢にき。病的に白い所がナイスマッチしてるニキ。
 

雨のツーピースエレガンス(関西弁にき)

ごめんなぁって代わりに謝ってくれる心優しきツーピースニキ。可愛い。
 

飯島テル彦(ドレッド)

ソワレ前にパンフを買ってこれが表題役な事にビックリした。まあ一番セリフ量としては大きいのかもなと思いつつ軽そうなものを必死で引き摺る様が上手すぎてアイレベル同じにして見たかった(見上げて困った)。彼の雑念の原理は分からんが、生まれ持っての悪というよりかは擦れて後戻りができなくなった感を感じるので人を殺すという行為を作中唯一住田くん以外でした飯島さんのその後はきっと、永遠に訪れぬ平穏なのだろうなと思う。ある意味捕まった方が人生って楽なんだろうな、逃げ続けるのってな。とか思う。うすらぼんやり。
 

金子さま(超弩級インテリヤクザにき)

みねくんこの世の性癖全部金子ニキに集めとらん?
力の限り言わせてもらう、インテリ眼鏡ヤクザは似合う。ピタピタハイネックも似合う。指折るエレガンスヤクザ凄まじい破壊力だった。
エレガンスヤクザの表情の作りが繊細でおぁ……おぁぁ……という感嘆符だけ浮かぶなどする。金子さまのリアコになりたいだけの人生でした。
一桁番の席だと小野田くんとかにガン付けてるのが見られるし指折ってるスマートなお顔も観られるし、二桁番だと伸し掛かってなんとも住田くんを潰せる金子さまが見られるよ。
 

おまわりさん(警察官にき)

妻が天然ふわふわ系的を得てる警察官ニキ。ヤクザと警察官一緒にやれるのなんてみねくんくらいのもんだろってくらい優しい顔のおまわりさんでした。すみだくーーーーんの声が気抜けててすんごい可愛かったのね、はい。
 

卒業式出席スーツ(保護者?モブ?先生?)

スンとしてるしぶつかられて痛いなって顔して振り向くさまがただ美。モストオブ美。
 

バスで本読みリーマン(シュプレヒコールにき)

やっぱちょっとズレんだなと思った。
 
 

みねくんもろもろ。

全編通して散らばった役を最初から最後までみねくんは演じてた訳ですけれども。
昨日を振り返り、自分は進化し続ける人を応援しているのだなと肌で感じているところ。出てくる度雰囲気も何もかもが違う別の男でほあ……?と初見時だいぶビックリしたことを思い出しています。
器用で、澄ましていて。不器用で偏屈な片鱗もなくて感動しちゃう。みねくん本体として見るとこんなスンとした事も出来るんだなって感動してしまうので役者、やはり役者と嬉しくなるし客席という割と近い距離でそれを感じさせてもらえることが凄く幸せなことだと思ってる。
今年は結構悩める青年の傍らで七変化しがちお兄さんポジを確立してるみねくんですが、ダントツでヒミズのみねくんの全てがキャラ立ちしてたなと思う。Kappaのラップくんよりも強く、七夕のあっちこっちよりも一つ一つドが付くほど丁寧に練り込まれ何より全部良かった。そして「居なければ成立しない要」に居たんじゃないかなって勝手に思ったりしてる。
此処数年では一番個人的にはみねくん好きな舞台だったな。げに感謝。
 
 
 
総合的に見て重すぎて連チャン私はキツイけど内容的には大変満足、配信が待ち遠しいです。
大変良い観劇でした。
 
 
 
 
 
ここから下は遠征日記。
 
 
 
 
 

私事。

 
今回本当に行くか悩んだ。
ドンピシャ台風。帰りは足止め食らうかもしれないという闇。チケット腑に落ちなかった事もあって複雑な顔して出発時間まで行こうか悩みつつ、もう帰れなくてもいいかと旅立ちました。
雨の中店を探すのもダルいだろうなと近くのホテルをデイユース利用してました、これが駄目だった。9時位にベッドに寝転んで、アラームを2種類掛けて寝る。アラーム鳴る→キレて止める(力いっぱい寝汚なかった)→ふと目を覚ましたら12時半(開演13時)
 
終わったかと思った。
 
化粧してコンタクト入れて*2慌ててエレベーター降りてる途中でツイッター見たら公式から「チケットの半券に住所氏名書いてね」のお触れ。(時間制作さんからのサイトのお願いに書いてあったのにちゃんと読んでなかった私が悪い)
 
でも当日言わないでえええ?!前日アナウンスできればしてほしかった……当日ってあんまりツイート見ないので。フロントで泣きながらペン借りて走って劇場向かった。徒歩5分のホテル選んで本当に良かった。滑り込んで見たマチネ、寝起きだから脳にド直球に来た。
 
まあ見てよかったと心から言えるんですけど色々災難起きてました。公演以外での悩みが大きかったな。地方としては相変わらず風当たりが強いです。まあ行きますけれども。鑑賞して外に出て晴れてるのを見て「……?」になった事も記憶に新しいです。
あとアニメイトにせっかくだから寄ったら目当てのものはありませんでした……ええそう、カスタマニアだよ!!*3パフェグラス見てみたかったので残念でございました。丸一日通して写真は下記の一枚しか撮ってない。
 
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そんな遠征でした。地獄を見たぜ。マチソワ感はお風呂入っちゃったぜ。
デイユース最高!!!!!!!!
残りの公演もどうぞご無事に、完走が叶いますように。早々。

*1:アーカイブ30日

*2:途中で片方絨毯の上に落として絶望する

*3:飾れるアクスタなら有るんだけど飾れる場所がもう無い